こんにちはプクです。
映画「夜明け前のうた〜消された沖縄の障害者〜」を監督の舞台挨拶込みで見てきました。
1960年代、沖縄で行われた「私宅監置」の話です。
「私宅監置」とは精神に障害がある人を自宅敷地内の小屋などに監禁することです。
1900年にできた法律に基づいて認められていたものです。
1950年に日本本国では廃止されています。
1972年に沖縄が日本に返還されるまで「私宅監置」は続きました。
プクは実は映画館に向かう足は重かったです。
・現在制度としてなくなった「私宅監置」という過去のことを取り上げることに意義はあるのだろうか?
・今現在続いている精神疾患の隔離や身体拘束の問題が過去のものと思われるんじゃないだろうか?
そう考えたからです。
結論から言うと見に行ってよかったです。
とても有意義な時間を過ごせました。
そして、今後の日本の精神疾患の問題を解決するにあたってのヒントも得られました。
プクは統合失調症のプカに寄り添って10年以上。
統合失調症はもちろん、みんな生きやすい世の中になってほしいと思いブログを書いています。
是非最後まで見てくださると嬉しいです。
生きた証を残すため
「私宅監置」という現在はなくなった制度を取り上げる意義はあるのだろうか?
映画を見る前はそう言う疑問がありました。
・現在の精神疾患患者の隔離、身体拘束問題と地続き
・国が公に認めて謝罪すべき問題
と言うことで取り上げる意義はあると言うメッセージを感じました。
確かにそれについては納得できますが、プクが心を打たれたのはもっと理屈抜きのところです。
「生きた証を残したい」
と言うところです。
「私宅監置」の間で亡くなった方もたくさんいらっしゃいます。
その方達の名前と姿は監督の原義和さんが明らかにするまでは世に出ることがないものでした。
世代を超えて伝えるべきものがある
理屈では伝えきれない魂の叫びのようなものがあると感じました。
身体拘束の現在の実態について
今現在続いている精神疾患の身体拘束の問題が過去のものと思われるんじゃないだろうか?
映画を見る前のもう1つの疑問について、現在の隔離や身体拘束の実態について監督はどう考えているか知りたかったです。
先日、プクはNGOの研修で精神科の問題があるという実態を皆さんに伝えたいと言うことを話しました。
「実態っていうけど、エビデンスはあるの?」と言う質問がありました。
プクに言える範囲は
・プカが2つの病院で力づくでの隔離を経験している
・NHKで放送された「ドキュメント 精神科病院×新型コロナ」で東京都の2つの病院での身体拘束の実態を知った。
ということです。
上述のNHKのドキュメントでは、コロナによって精神病院の実態が浮き彫りになったと言っています。
海外と比べて日本の精神疾患患者への身体拘束数は高いという記事は見たことがあるものの、
閉鎖病棟という壁がある中でのエビデンスというのはひょっとしたら難しいことかもしれません。
ある観客の方が「現在の精神科の問題」というキーワードを含めて質問していました。
現在の精神科での隔離や身体拘束問題についての監督の意見が聞けると思いましたが、その方の質問に答えているときに実態についての話はなかったです。
そのときプクはこう思いました。
・監督は現在の精神科の実態について知らないんじゃないか
・あるいは身体拘束がある病院はほんの一部だけというのが実態なのかもしれない
ところが別の方の質問に答えているときに「日本の精神科病院で身体拘束が行われていう現状」についての話になりました。
監督は精神科の病院も取材されているという流れでその話が出てきたかと思います。
「精神科の問題」という質問に対して「身体拘束」の話が出てこないのは、精神科病院で身体拘束が行われているのは当たり前のことだからではないか。
プクはそう感じました。
もしそうだとしたら、
・それに比べてそういう実態があることに社会の認知度は低すぎるんじゃないか。
・むしろ家族でさえ知らない場合もあるんじゃないか。
と、プクは思いました。
もちろん本人が自分を傷つけるような場合は正当な身体拘束もあるかもしれません。
しかし、職員が少ないという理由だけで不当な身体拘束が起きている。
こういう実態があるのであれば声を上げていきたいです。
問題を解決するためのヒントについて
映画の中でワンシーンだけ拍子抜けな場面があります。
西アフリカでの精神疾患の身体拘束を取材したシーンです。
鎖で繋がれた少年がポジティブな印象だったのです。
それは
・すぐ近くで子供たちが遊んでいる
・隠すような壁がない
という状況でした。
ナレーションでも「鎖は魂を繋げておくのに必要なもの」というような表現を使っていました。
現在も続いている「私宅監置」の現場を取材したいとのことだったようです。
監督も他の方から「あのシーンいる?」と言われたことがあるそうです。
プクはこのシーンは途上国から学ぶべきことがある大切なシーンだと感じました。
プクは勇気を振り絞って監督にこんな質問をしてみました。
日本の精神科病院の現在の問題の話もありましたが、途上国から学ぶべきことがあると感じました。
そのあたり監督はどうお考えでしょうか。
これに対して
そもそも病気と考えていない
伝統治療師と西洋医学が組み合わせ
予言者として社会から大切に扱われている
というような実例をお話しくださいました。
ただ、このあたりは確証を得た話ではないとのことでした。
是非、この辺りの映画を作成してくださいと監督と直々にお話しする機会があったのでお願いしました。
また、監督と一緒にお話しされたAHIの方のお話も興味深かったです。
※AHIについてはこちらでも
ネパールで精神障害者を支援する団体を紹介してくださいました。
ネパールでは病院まで連れて行くことが困難で「私宅監置」のような状況があったそうです。
しかし自助グループによって地域で支える体制を作っているとのことです。
菜園を作って、役に立てる経験を積むことで回復に向かうということでした。
このように精神疾患のリカバリーのためには社会とつながりが大切だとわかります。
役に立てる存在だと本人が思うことで回復に向かうということでした。
おわりに
プクがブログを続けているのは、プカを入院させなかった原体験があることが大きいです。
こちらでもお話ししました。
少し長い動画なので、21分あたりからよろしければご覧ください。
病院を抜け出したプカに職員の人が4〜5人で押さえつけて隔離部屋に無理やり連れて行ったのを目の当たりにしたからです。
この原体験にはもう1つ大切なことがあったことを今回思い出させてくれました。
それは「大切な人を大切にできる生活をする」ということです。
是非、劇場に足を運んでパンフレットを手に取ってみてください。
ここには映画では伝えきれていない原義和監督の原体験があります。
大切なことを思い出させてもらいありがとうございます。
これからも応援させていただきます。
みなさんも応援してくれると嬉しいです。
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