高校生6(発症)

プクのうつの話

プクは文系だったよ。

プクのお父さんが本当は文系なのに、
理系を選んだために2浪することになったんだ。

プクの得意科目は英語と歴史だったから
迷わず文系にしたんだ。
物理は致命的に苦手だったしね。

ただ、世界史か日本史かどちらか決められないでいたんだ。
だから、世界史、日本史両方とも学べるクラスを選んだんだ。

プクは学校内の定期テストは効率よく
山をはったりできたんだけど、
受験勉強ではなぜかそれができなかったんだ。

どんな細かいところも覚えなきゃいけないっていう
恐怖感があったんだ。

高校3年生ではじめての模擬試験は散々だったけど、
夏休みに受けた模擬試験はそこそこよかったんだ。

ホッとしたんだけど、問題があったんだ。
プクは文系なのに現代国語が苦手だったんだよ。

作者の言ってることは何かっていうのが
全くわからなかったんだ。

プクは文章を読むとき、作者の言ってることより、
自分はどう思うかってことに意識が向いてしまうんだ。

やってもやっても
現代国語だけは点数が伸びなかったよ。

そのうちプクは焦ってきたんだ。

世界史の先生が野球部の顧問で、
どっかの強豪高校のバッターは
意図的に心拍数を上げて集中力を高めて
バッターボックスに立つっていう話をしてたんだ。

だから、プクも心臓をドキドキさせて
勉強しようと思ったんだ。

そうしたら、ドキドキが止まらなくなったんだ。

常に恐怖感に襲われるし、

気分転換する間を惜しんで勉強するようになったんだ。

学校から帰ったら5時間、
休みの日は家で12時間、
とにかく勉強する時間が多ければ多いほどいいって
何かに取り憑かれたように勉強してたよ。

あるとき、現代文の問題を読んでいて、
作者の言っていることがわからないどころか、
1行目を読んで2行目を読んだら、
1行目のことが頭から抜けていくような感覚があったんだ。

苦手な現国に絶望したよ。

ある日、プクは電車にのっと学校に行こうとしたら、
ふと、電車に飛び込んでしまいたくなる衝動に駆られたんだ。

そんな自分が恐ろしくなって言ったよ。
泣きながら家に帰ったこともあったよ。
すれ違う人に変な目で見られたこともあったと思う。

道端に電線が垂れていて、
これに触って感電して楽になりたいな。

そんなことばかり思うようになった。

もうこのときには発症していたと思う。
でも、まさかプクが精神疾患にかかるなんて
このときには思ってもみなかったんだ。

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