高校生7(うつ病)

プクのうつの話

高校3 年生の冬休みになって、
プクは何も手がつけられない状態になったんだ。

もうセンター試験が間近だったよ。

大晦日の夜に夢を見たんだ。
なくなった友達のお葬式の夢だよ。

村上春樹のノルウェイの森で
死は生と対極のものではなくて、
死の一部だって言ってたけど、

まさにこの時のプクは
死というものが迫ってくる感じがしたんだ。

病院に行きたいって言ったのは
確かプクだったよ。

20年近く前の話で、
今ほど精神科は一般的でなかったと思う。

口のうまい医者に言いくるめられてこい
みたいなことを家族からは言われた気がする。

精神科どんな治療を受けるのか
全くわからず、不安もあったと思う。

でも、行って見たらすごい安心したんだ。

お医者さんが満面の笑みで
「もう大丈夫だよ」って。

点滴を打ってそれだけでもう
治った気がしたんだ。

先生からは「うつ病」って確か言われたよ。

プクにまとわりつく死にたい衝動は
病気なんだってことにとても安心したんだ。
病気なら治せばいいんだって前向きになれたんだ。

休み明けに、担任の先生に
「うつ病」になったと言って、
しばらくお休みをもらうことになったよ。

クラスもみんなと再開したのは、
センター試験の会場だったよ。

「生きてたかー」
なんてみんなに言われた気がする。

もう、何週間も勉強してなかったし、
浪人することになるんだろうなって思ってた。

でも、このときは前向きになれてたから、
そこまで心配はしてなかったんだ。


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