「症状は年齢とともに安定していく」は本当!?データで見る統合失調症の実態

統合失調症の実態 知ってもらう

こんにちはプクです。

統合失調症のプカに寄り添って10年以上。

社会での統合失調症の認知度をあげて、みんなが過ごしやすい世の中にしたいと思いブログを書いています。

プク(pukulifestyle)とプカ(puka_diet)はツイッターをやっていますが、20代〜30代の当事者とその親世代のケアラーがフォロワーに多いと感じています。

よく、ケアラーである親御さんの意見で聞かれることが「わたしたちが高齢になったらどうなるか」という将来を心配する声です。

よく言われていることは、統合失調症は年齢とともに症状は落ち着いていくということです。

プクは自立した生活をされている方が多いのだろうなと想像していました。

しかし、「40代以降はどうなるんだろう」と思っても、SNSで40代以降の当事者はそこまで見かけませんし、ネットで調べても詳しい実態が見えてきません。

そこでプクは福岡市の「精神障がい者調査」のデータから実態を調べてみました。

今回はプクが調べたことをお伝えしますが、プクが思った以上に厳しいと感じた現状もありました。

統合失調症は100人いれば100通りの症状があると言われており、必ずこうなるということを伝えたいわけではありません。

プクは今回の調査で知った現状が変わって欲しいと思いましたし、変わるためには統合失調症を知らない方に現状を知ってもらう必要があると考えています。

希望を持てる内容もお伝えするので最後まで読んでくださると嬉しいです。

また、プクが今回お伝えすることはデータからの実態ですが、皆様の実体験からもご忌憚ない意見があればコメントしてくださると幸いです。

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調査概要

ケアラーの方の将来を心配する声からプクは「統合失調症のケアラーはX世代(1965〜80年生まれ)が多く20年後はケアラーが高齢化し、当事者が孤立する」という仮説を立てました

参考にしたのは令和元年度「福岡市精神障がい児・者等実態調査」の中から「第8章精神障がい者調査」より「通院中の統合失調症患者」231名の項目を抜粋しました。(※入院状況については「第7章精神障害者調査」より「入院中の統合失調症患者」476名)

・統合失調症

・仮説の検証:ケアラーの高齢化と当事者の孤立

・勤務状況

・入院

の4つの点についてデータを見ていきます。

統合失調症について

まず統合失調症について

統合失調症ナビHPより

グラフの通り「前兆期」「急性期」「休息期」「回復期」という経過をしていきます。

統合失調症の患者さんが「初めて精神科を受診した年齢」を見てみると、30代までの比率が多く、主な介助者(ケアラー)について見てみると「介助の必要がない」ということが多いです。

では40代以降の患者さんは減っていくのでしょうか。

統合失調症の当事者の年齢を見てみると40代が最も多いという結果になっています。


ここまでのことから、統合失調症は若い時期に発症し、治療を続ける必要があるが症状は安定していくということがわかります。

これは一般的に言われていることと相違はありません。

仮説の検証:ケアラーの高齢化と当事者の孤立について

ではプクがツイッターでよく耳にするケアラーである親御さんの「私たちが高齢になったらどうなってしまうのか」ということについてデータを見ていきます。

主な介助者(ケアラー)の年齢は60歳〜64歳が一番多くなっています。

また、当事者の孤立に関係するデータも見ていきます。

世帯状況をを見ると「一人暮らし」が一番多くなっており、保険の種類は「生活保護」が一番多くなっています。

また、勤務状況を見てみると「以前は働いていたが辞めた」という項目が一番多く、「働いている」という項目は22%ほどです。


これらのことから言えることは、統合失調症患者の「ケアラーの高齢化と当事者の孤立」は将来起こりうることではなく現在直面している課題であるといえます。

勤務状況について

勤務状況について詳しく見ていきます。

先ほどの勤務状況で「働いている」と回答した方の「勤労形態」を見ると、「施設」「非正規」で働いている方がほとんどで、月収は「1万円未満」の方が多く「20万円以上」の収入がある人はほとんどいません。

「以前は働いたが辞めた」と答えた方の「仕事を辞めた原因」について一番多い項目は「障がいや病気で身体的に働くことが困難」ということです。

今後の就労意向については半分以上の方が今後も「働きたい・働き続けたい」と回答しています。


これらのことからは、働く意欲はあるが、症状のために働き続けることが難しいということと、安定した雇用形態ではなく賃金は低いということがわかります。

入院について

続いて統合失調症患者の入院の状況については入院患者の方の統計をお伝えします。

こちらは今現在入院している方のデータになります。

グラフの左側が統合失調症の「通院患者」、右側が「入院患者」ですが、高齢の方の比率が「入院患者」の方が多いということがわかります。

「入院回数」は「5回以上」の項目が多く「入院期間」について見てみると「10年以上」入院している方もいらっしゃることがわかります。

入院患者の「住まいの形態」をみると「住居なし」の項目が一番多く、「家族の支援体制」では約半分の方しか定期的な支援が受けられていないことがわかります。


これらのことから、発症してから入退院を繰り返し、家族からの支援がないために長期間入院せざるを得ない状況の人もいるということがわかります。

統合失調症の課題の規模・影響と課題の今後について

ここまで福岡市の「障がい者調査」から統合失調症の実態について見てきました。

統合失調症な年齢とともに症状が安定していくという結果にプクはホッとしましたが、就労や入院については厳しいものだと感じました。

では、日本全体で見たとき、統合失調症の課題はどれほどの規模と影響があり、今後はどうなっていくと予想されるでしょうか。

課題の規模と影響

統合失調症を知らない方も多いですが、喘息(ぜんそく)の患者数と同じくらいです。

それがどのくらいの規模かというと

・統合失調症は100人に1人が発症

・日本国内の患者数は約79万人

・生活保護受給者は11万人(入院患者4万人、通院患者7万人)

となっており、知らない人がいることが不思議なくらい社会にも大きな影響を与えています。

課題の今後について

統合失調症の認知度が低いことは無知・無関心によるものが大きいと思われますが、SDGsなどにより障がい者への人権の関心は高まると予想されます。

さらに、これからはSNSを使いこなす世代に当事者とケアラーがなっていきます。

・Z世代(10代半ば〜25歳くらい)の当事者の寛解化

・Y世代(25歳〜40歳くらい)がケアラーになる

これによりこれまでTVや新聞が大きく扱わなかった実態をSNSを通して知ることになります。

既にこの流れは出来つつあり、統合失調症youtuberも見かけます。

私たちが関心を持ち続けて、統合失調症を知らない人にも現状が伝われば必ず変わるとプクは考えています。

このような中で予想されることは、入院せぜるえないという状況は見直され、地域で安心して過ごせる居場所が必要ということです。

プクが「統合失調症カフェ」開設するという目標がありますが、就労の選択肢を増やせるものにしたいなと考えています。

まとめ:課題の構造

ここまで、福岡市の「障がい者調査」のデータから、統合失調症の課題の構造をまとめると

・若い時期に発症し入退院を繰り返す

・雇用機会と労働条件が整っていない

・介助者(ケアラー)の高齢化

ということがあり、その結果

・キャリアを積むことができない

・自立した生活を送ることが難しい

・支援する家族がいないため長期入院せざるを得ない

ということになります。

もちろん全ての人がこの構造のようになるということが言いたいのではありません。

この現状を知ってプクは変わって欲しいと思いましたし、関心の高まりによって変わると思っています。

また、もちろん客観的な視点でお伝えしようとしましたが、このデータには決定的に足りないものがあります。

・障がい年金受給についてのデータがない

・通院患者の生活保護受給率42.7%が高すぎる(厚生労働省のデータでは4.5%)

という点です。

そのあたりを調べて見ましたが、納得のいく情報は得られませんでした。

不確かなまま情報を伝えることに葛藤がありましたが、皆様の実体験から実態を伝えてコメントくださると幸いです。

長文読んでいただきありがとうございました。

コメント

  1. 支援する家族がいないから入院は福祉や社会が弱いのかなと私は思っています。家族が支援をしなきゃ成り立たないことに問題があるように感じてます。

    • コメントありがとうございます。
      家庭以外の居場所の選択肢が多いといいなと感じています。
      現在妻は自分に合った就労移行支援に通っていますが、ここを見つけるまでには長い時間がかかりました。
      その間に無理に一般就労をして再発したこともあります。

      その人にあった居場所を選択できる社会になるように、取り組んでいきたいです。

  2. これはあくまで統計であって実態を把握しきれていないと思います。
    まず「前兆期」「急性期」「休息期」「回復期」という経過をしていきますとありますがこれは患者によってまちまちです。
    色々な医学者や学者や医者ももうこの統計は何十年前のものだと言っています。あくまで模範なのです。
    私は急性期はありましたが、そのあとは完全回復期です。つまりいきなり寛解でした。
    あと、住まいの形態で、住まい無しというのも気になって本当に34%もホームレスなのかということです。
    月収も30万以上はいませんが、私の前の会社の同僚も統合失調症でしたし、私もそうでもう10年以上は30万以上は稼いでいるので0というのは疑問です。
    入院数も私は0ですが、近年軽症の人が増えてきて0の人はすごくたくさんいると思います。
    私は40代で、普通に働いて障害というのはあまり感じていないですが、結局は病識を早く認識することでその人の人生が変わってくると思います。
    病識を認識できない人は入院の無限ループになるだけだと。医者があなたは病気だといっても否定する人がよくいるといいますが。
    日本は欧米と比べて入院数が異常に多いといいますが、これは日本の医学が悪いことで入院することで病院が利益を得ることが目的なのと、自傷他害以外は入院させないとさせないと日本の精神医学はもはやレガシーものだと思います。
    私も発症当時は幻聴があり、本当の声だと思っていましたが、医者に統合失調症と診断して病気と薬に勉強をして病識と認識したおかげで劇的に回復できて、今では遊んでいるくらいです。
    結論として統計はあくまで統計であって実態を把握できているわけではないのです。
    なぜなら患者1人1人に実態を把握していないからです。この統計のエビデンスはどこからとっているのでしょうか?

    • コメントありがとうございます。

      ご指摘の通り統計からお伝えしているので、全ての実態がこうだということではありません。
      ご自身の貴重な体験についてお知らせくださり、感謝しております。
      不快な思いをされたら申し訳ありません。
      エビデンスは福岡市の「障がい児・者調査」の第7章と8章です。
      https://www.city.fukuoka.lg.jp/fukushi/zaitakushien/health/syougaijisyatoujitaityousakekka_2_2_2.html
      入院については7章から、それ以外については8章を参考にしています。

      入院について、通院患者ではなく、入院患者を対象にしているということがわかりにくかったと思います。
      修正させていただきます。

      nao様がお伝えくださるように早い段階で病識を持てる人がもっと増えるように、社会での統合失調症の認知度を上げる活動をしていきたいと考えています。
      今後ともよろしくお願いいたします。